なんとなくSF、の超私小説おすすめ度
★★★★☆
SFを知らずしてSFを書いてしまったのではないかというくらい飛んだ作品がふたつ。ありえない現象をしずかに書きとめてゆく自然主義の手法だけが流用され、私小説から軽やかに跳躍しています。
いろんな過去を背負った生物-死物、偽物-ばった物たちが飲んで歌ってすべてをうやむやにしてしまう、どこかインド映画チックな『田紳遊楽』と、鬱屈した空気のなか、みずから倒錯へと身を投じることで、生とも死ともつかないあいまいな世界から厳しく自身を引き離そうとする『空気頭』は方向性こそ逆でありますが、指向する境地は似ている気すらいたします。藤枝静夫氏の作品には墓や病気、死といった不気味なものがよく登場するのですが、いずれも滑稽さと悲しさの薄皮に包まれて供されます。藤枝氏は不安さに耐えられなくなった時、期せずして発露される、真面目さがおかしさと区別が付かなくなるあの笑い泣きの境界に長く身をおいていたのかもしれません。
あまり名前を知られることもなく渋い位置にとどまっている作家ですが、読んでみると「こんな作家が昔、日本にも居たのか!」という驚きがあることでしょう.....。というわけで、復刊を期待する次第です。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
今回の発売がすごく嬉しいです
。ファンなら買って間違いなく損のない品ですね。
買って良かったと思います。