+ 田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫) +

田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫)

藤枝 静男
おすすめ度:★★★★★
最安値はこちら!

Amazon.co.jp



小川芋銭に通じる「田紳有楽」
おすすめ度 ★★★★★

川上弘美が書いた書評を読んだ。そういえば昔買った覚えがある。はさまっていたレシートを見ると1993年。池の底ならぬ書棚に沈んで十余年である。空中移動や変身の術は身につけていないだろうが、確かに古色は帯びていた。

作品についてはあれこれ言うことはない。間然とするところのない、見事な文章である。とりわけ、小川芋銭の絵を思わせる「田紳有楽」は優れて視覚的でありながら、映像化は至難と思われる。これぞ文芸の力である。

一方解説は、素直を書けばいいものを、こね回してわざわざ難しくしているような文章である。あんたの偉いのはよくわかったから、わかるように書いてくれ、と言いたくなる。こういう文章が、たとえば大学入試問題で読解力を試すのに使われ、若者の読書離れに寄与していることはほぼ確実と思われる。文章は情報の伝達手段であって、自己陶酔や自己顕示の手段ではない。小難しい文章を書くのが偉いのではないのだと、私は文系の連中に強く言いたい。



一度読んでみるといい
おすすめ度 ★★★★☆

『田紳有楽』は破天荒な作品だ。音楽に例えればアドリブをふんだんに取り込んだフリージャズと言える。読めばそれが判る。話の展開が何処に着地するかなど一切わからない。著者本人でさえ明確に着地点を想定せずに書いていた節がある。地味な私小説リアリズム的な始まりから空想力が突如として爆発大炎上し、更にヒートアップして燎原の如く読み手の既成概念を燃やし尽くす。この作品は日本文学において空想力を最大限発揮した作品のメルクマークとも言えるだろう。
 ただし、併録の『空気頭』に関しては個人的に今ひとつであった。



極私小説
おすすめ度 ★★★★☆

私小説を突き詰めるとこうなる
という見本である。
シュールさは安部公房をも
軽々と凌ぐ。

藤枝さんが自らの全集すべてに
サインを入れたというエピソ-ドは
氏の人柄をよく表している。
曰く「読者とより深くかかわりたい」
作品は読むものをワシ掴みにする。



突き抜けた小説
おすすめ度 ★★★★★

金魚のC子とグイ呑みのことは、いまでもときどき思い出す。
思い出すたびに、少しだけ胸が熱くなる。



なんとなくSF、の超私小説
おすすめ度 ★★★★☆

SFを知らずしてSFを書いてしまったのではないかというくらい飛んだ作品がふたつ。ありえない現象をしずかに書きとめてゆく自然主義の手法だけが流用され、私小説から軽やかに跳躍しています。
いろんな過去を背負った生物-死物、偽物-ばった物たちが飲んで歌ってすべてをうやむやにしてしまう、どこかインド映画チックな『田紳遊楽』と、鬱屈した空気のなか、みずから倒錯へと身を投じることで、生とも死ともつかないあいまいな世界から厳しく自身を引き離そうとする『空気頭』は方向性こそ逆でありますが、指向する境地は似ている気すらいたします。藤枝静夫氏の作品には墓や病気、死といった不気味なものがよく登場するのですが、いずれも滑稽さと悲しさの薄皮に包まれて供されます。藤枝氏は不安さに耐えられなくなった時、期せずして発露される、真面目さがおかしさと区別が付かなくなるあの笑い泣きの境界に長く身をおいていたのかもしれません。
あまり名前を知られることもなく渋い位置にとどまっている作家ですが、読んでみると「こんな作家が昔、日本にも居たのか!」という驚きがあることでしょう.....。というわけで、復刊を期待する次第です。



まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★

今回の発売がすごく嬉しいです 。ファンなら買って間違いなく損のない品ですね。
買って良かったと思います。



藤枝静男 動画

藤枝静男



桜多吾作 藤枝静男 のがみけい