北野武さんに影響した本(だと思います)+英文法研究書としても読めるのですおすすめ度
★★★★★
「不完全性定理」を証明した数学者ゲーデル、だまし絵で有名な画家エッシャー、音楽家バッハを論じた本。ホフスタッターは当時ミシガン大学の人工知能の研究者。お父さんはノーベル物理学賞受賞者。ホフスタッターはどんな人たちに読んでもらいたいかを問われて「わたしが15歳のころに興味を持っていたような事柄に関心のある、15歳の頭のいい連中」に読んでもらいたいと答えている。
私自身は大学の哲学科の先輩に紹介していただいた想い出のある本。あの世界の北野武(ビートたけし)が20年前ぐらい前にバラエティ番組でこの書名に言及したのを偶然テレビで見たこともある、そのくらい当時読まれたすばらしい本。(2008年現在、北野武さんの最新作映画の題名が『アキレスと亀』だとテレビで知って、本書がたけしさんに与えた影響はこんなにも大きかったのか! と驚きました)
翻訳チームがすばらしく、この翻訳をきっかけに日本の英文学界・数学界は大きく進歩したと私は思っている。
言語に関しての示唆が多く、英文法研究書としても読めるのです。
● <人工知能の知識の分類>
⒜ 手続き型:Bottom up方式
「あなたの居間の椅子の数は?」、イメージの中で、あるいは実際に数えようとする
⇒how toとしての知識
⒝ 宣言型:Top down方式
「シカゴの人口は?」「500万人」と、どういうわけか心に浮かぶ。
⇒事実としての知識
● 【否定/助動詞】話し手の判断が入っていないと思われている文にも事実だけではなく、判断が入っている例
p. 630 「起きなかった」ということに度合というものはない。「ほとんど起こりそうだった」は心の中にあるのであって、外的事実の中にはない。
●p. 631【没価値の叙述文】叙述⇒叙述+不定詞⇒仮定法⇒助動詞+不定詞
「私はロシア語を知らない」→ロシア語を知りたいなあ、知っていたらなあ、チェーホフを読むのになあ。
●p. 351【名詞】原型原理(プロトタイプ)
「記号」⇒【名詞】
「クラス」⇒【種類=一般的な話題】
「事例」⇒【メンバー/ある人や物を指す具体的な話題】
脳の中で記号はクラスを表わすのか、それとも事例を表わすのか? ある記号はクラスを表わし、他は事例を表わすのか? どの部分を活性化されるかによって、単一の記号がクラス記号および事例記号の双方の任務を果たすのだろうか?
p. 142【関係代名詞(制限用法)】
同一人物についていく通りにも心に描くことができる。例えば、
その著作を私が先月ポーランドの友人に送ったところの人物
今夜、この喫茶店で私と私の友人に話しかけた見知らぬ人物
この2つが同一人物を表現していることはアプリオリには明らかではない。しかし、その晩の会話の中で2つの記述が実は同一の人物をさしていることを明らかにするような話題にぶつかれば、こう叫ぶことになる。「なんだ、あの人のことだったのか!」
難解で、長い!おすすめ度
★★★★★
ゲーデルの「不完全性定理」、エッシャーの「だまし絵」、バッハのフーガとカノン、が本書のタイトルの由来ですが、中心はゲーデルです。ーー正直なところ、私には本書が理解できていません。数字を苦手とする私にとって、超数学や固体物理学が語られているページは、読み流すだけでも苦労しました。また、大変な大作で、文庫本にすればゆうに4冊分ぐらいはあると思われます。それにもかかわらず、全然読めていないと思いながらも、大きな感動を覚えました。
本書で繰り返し登場するのは先の3人ですが、他にも様々な話題に触れられていて、日本の俳句や禅問答など、難解なゲーデルの世界を少しでも親しみやすいものにしよう、せめてゲーデルの雰囲気だけでも読者に伝えたい、という著者の熱意が伝わってきます。ーーとはいえ、もともと難解なものを簡明にすることはできませんし、著者もそのような安易な誤解を生じかねない方法はとっていません。難解であることに手加減していません。それでも、採り上げられている話題の中には比較的親しみやすいものも含まれていますので、忍耐力さえあればどうにかついていける、というのが、数学オンチである私の素直な読後感です。長い(様々な話題が豊富に語られている)というのは、本書の場合は<長所>だと思います(短く要!点だけまとめられていたとしたら、私なんかではとても手が出ない)。
理解できていない、読めていない、と繰り返しながら推薦するのは図々しいと思いますが、理系は苦手だが興味はある、という人にも、是非読んでみてほしいと思います。ーー読み終えたあと、きっとあなたの世界観は変わっている! 挑戦のしがいは、充分以上にあると思います。
人生に一冊の本になるかもおすすめ度
★★★★★
結構昔に書かれた本ですが、内容は今でも十分に意味のあるものです。実に広い視点から、非常に深いところまで考えられていて、全くただただスゴイという他ありません。この本は単に人工知能についての本とも、あるいはゲーデルの不完全性定理に関する本だとも言い切れず、あらゆる分野に応用可能なものだと思います。「なぜ?」という問にこだわる人は是非手にとって読んでみると良いと思います。読んできた本がそれほど質が高くないのかもしれませんが、今までに読んだあらゆるジャンルの本の中で考えても、これがベストです。
これにはまいったおすすめ度
★★★★★
この本は数学のトピックを詰め込んで、登場人物の会話部分でこれでもかというほど思いっきり楽しんでいるような内容です。集合や微分の概念の話もたっぷり出てきて敷居も高いとは思いますが、丁寧に説明してあり、読んでいくと面白く、また話のつなぎかたが素晴らしいのです。タイトルから最後のページまで構成が実に巧みで、さすが数学的組立、まいったと唸るほどです。数学は数学なので万人におすすめとは思いませんが、エッシャーの絵に興味があるという方には読んで欲しいなあと思います。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
大変良く出来ています
。従来の伝統を引き継ぎつつ、バランスがうまくとれてます。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!