れっきとした文学作品おすすめ度
★★★☆☆
メアリ・シェリーによる『フランケンシュタイン』は正確には『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』という題名です。これには以下のような意味があります。
プロメテウスとはギリシアにおける神であり、人間に火を教えたかどで主神ゼウスによって縛められ、生きながらにして鳥にその体を啄ばまれることとなった者です。無力なはずの人間に本来神にしか用い得ない「火」を授けたことは、人間を神にとっての脅威とした恐るべき所業だったのです。
つまり、ヴィクター・フランケンシュタイン(しばしば指摘されますが、フランケンシュタインは怪物を生み出した博士の名前で、怪物には名はありません)は宗教的に禁忌であった人間の創造を行った点で、現代(といっても今から二百年近く前ですが)において古のプロメテウスと似た役割を担ったということです。そんな彼の運命は哀しく、愛する者を失い苦悩にさいなまれ、罰というにはあまりに過酷な経験をすることになります。
フランケンシュタインの名を一気に有名にしたアメリカ映画の影響で「造られた者の哀しみ」ばかりが押し出されますが、前述のとおりこの小説は「造った者の哀しみ」の方がより強烈に描かれています。
また、19世紀前半に書かれたこの小説は手紙形式で、まさに小説の見本と言える作品のため、怪奇小説のみならず小説の技巧を学ぶ際にもしばしば言及される作品でもあります。若干読みにくいかもしれませんが、怪物の台詞(寡黙な印象がありますがけっこう饒舌です)は孤独の悲哀と絶望とに満ちており、多分に見る価値があります。気になった方はぜひ読んでみてください。
深い話だ・・おすすめ度
★★★★☆
「人間は科学を通じてどこまで神の領域に近づけるのか?
そしてその科学の進歩は人間にとって幸福をもたらすのか?」
この小説は現代人に対してこの命題を突きつけているのではないだろうか?
生命の創造という神の摂理に反するともいえる所業に成功したフランケンシュタイン。しかし成功と引き換えにどうしようもない破滅に向かっていく。
現代科学においてはDNAの組み替え、クローン生物の創造といった事はもはや不可能ではない。しかしそれによる弊害も既に出てきている。
19世紀に書かれた小説ではあるが21世紀を生きる我々が真剣に考えるべきテーマを暗示してくれている小説である。
「フランシュタイン」を単なるホラー物、恐怖物だと思っている方には是非おすすめ。
ちなみにロバート・デ・ニーロが怪物役を演じている映画も秀逸。
フランケンシュタインおすすめ度
★★★★★
新しい生命の創造という神の領域に挑戦したフランケンシュタイン博士と生み出されてしまった生命の葛藤と悲しみにあふれた作品である。フランケンシュタインというととかくホラー映画を思い浮かべてしまうが、その原点となったこの作品にはホラー的色彩よりも全編を通じて語られる苦悩と悲しみが色濃く最後には涙してしまうような作品になっている。ホラー好きな方には物足りないかも知らないが、ひとつのヒューマンドラマとして読んでいただきたい一冊である。
細部まで妥協なし
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。従来の伝統を引き継ぎつつ、バランスがうまくとれてます。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。