見せ物小屋的、独創の異空間。おすすめ度
★★★★★
ジュネ&キャロが創造する独創の異空間、この映画は「夢」が題材で、独創異空間に磨きがかかっています。デリカテッセン、ロストチルドレン、エイリアン4、アメリ、ロングエンゲージメントこの監督の美術へのこだわりは物凄いですよね、一回この世界に住んでみたいです。
この映画の音楽はデイヴィッド・リンチワールドのアンジェロ・バダラメンティ、衣装はジャン=ポール・ゴルティエが担当して、寓話とSFの融合、捻じ曲がったブラックな夢の世界を、中国の猥雑な市場や裏通りと中世ヨーロッパのゴシックな世界が絡まりあったような世界で表現していますね。名作ブレードランナーをキッチュにした美術とでもいいましょうか。。。
小物も独創的なレトロな機械がいい味を出しています。きっとこの監督かなり機械式のカメラや時計、タイプライターなどメカが好きなんだろうと思います。
映画中で登場するメカを創るのでも、このように機械式にすることで、物凄く人間味を構築させるのに役立っていますね。
銀河鉄道999の機械人間的な発想でしょう。
この監督が銀河鉄道999を撮ったら面白いだろうな。。。
眠っている時に夢を求めるクローンといった設定もこの監督の、大昔のパリの見せ物小屋のような世界感にぴったりです。
ザ・セルよろしく、夢の中に入っていって子供を助ける勇敢な少女が歳をとっていくシーンも、今観てもクオリティが非常に高いですね。
この監督の創る世界観は他の監督の世界感には無く、オドロオドロしさと言う意味ではクローネンバーグ、不思議さと言う点では未来世紀ブラジルを、なぜか感じます。
この監督の、どの映画も大好きです。
迷い混んでみませんか?おすすめ度
★★★★☆
電線が複雑に交差し、錆びた金属と、点滅する街燈が退廃的な雰囲気を醸し出す、押井守的なテーストを持つ近未来都市で、子供たちが誘拐されていく。大男ワンは、マッド・サイエンティストの作り出したクローン人間たちに誘拐された自分の弟をこの廃虚のような街で探すこととなる。
昨年ブレークした映画『アメリ』で嫉妬深い元夫という役柄で特徴的な演技をしていたドミニク・ピヨンが、クローン人間として6人分!出ています。それだけでも「濃い」映画なのに、主役・わき役含めてエキセントリックなキャラクターばかりが登場。なんだか、異空間に迷い混んだようで、面白い映画です。
デリカテッセンと同じ世界?おすすめ度
★★★★☆
ジュネ&キャロのユーロな映像美が堪能できる名作である。ジュネが監督、キャロが美術監督を担当した。全体的に暗い雰囲気で、ジュネ&キャロ特有の奇抜なキャラクターたちが登場する。ジュネはテリー・ギリアムを尊敬しているらしく、その映像はギリアム監督の作品をかなり意識しつつ、独自のものに仕上げている。ロン・パールマンが演じる怪力男も、まるでファンタジー小説から抜け出したようなキャラで感激するが、やはり主人公の少女ミエットを演じるジュディット・ビッテはとても素敵。よく言われるように、彼女は子供なのだが、妖艶な魅力も備えている。単なるかわいい系の少女ではない、挑戦的な役柄を当時9才の彼女は見事に演じていた。ユニークなメインタイトルの現れ方、ノミの不気味な動き、防波堤に突っ込む貨物船など見所は沢山ある。とくにノミの動きには感心した。多少ストーリーのまとまりに欠けるし、あくが強い映画なので好みがわかれるかも知れないが、私的には面白かった。やはりジュネ&キャロはアメリやロストチルドレンのようなひねりのあるファンタジーで本領を発揮している。ところで本作はデリカテッセンと同一の世界の出来事ではなかろうか。デリカテッセンはアパートの中の話、ロスチルは外のお話、そんな感じがする。
至上最高のファンタジー大傑作。おすすめ度
★★★★★
ジャン=ピエール・ジュネの最高傑作です。
彼にしかイメージできない世界観がとても驚かされます。
想像もつかないような展開でワクワクの連続。
それでいて、とってもキュートな物語です。
そして奇抜なカメラワーク。
どれをとっても申し分なしです。
問題は、その世界観を理解できるか・・・ですが。
ロストチルドレンおすすめ度
★★★★★
私がこの映画を初めてみたのは、遅れ馳せながら、映画が初上映されてから3年もたってからでした。私の妹が、今日、ロスチル気分じゃない?(彼女は勝手に略してこうよぶのです。)といって私をさそったのがきっかけでした。何気ない気持ちで観たのですが、本当に心の奥底までも圧倒されました。完璧に洗練された、非日常的な世界。美しさと醜さ、研ぎ澄まされた感覚、すべてがそこにはありました。ストーリー的には、不思議で、不条理で、そして単純なのですが、映像の美しさとあいまって最大限の効果を生み出しています。私は、とりあえず最近月2回ペースでロスチル気分になります。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
全般的に言うと初心者向けだと思います
。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。
概要
冷たい雨が降る暗黒都市の夢泥棒「一つ目教団」に弟をさらわれてしまった心優しい怪力男ワン(ロン・バールマン)は、孤独な少女ミエット(ジュディット・ビッテ)と知り合い、ともに弟探しを始める。
近未来SFブラック・コメディ『デリカテッセン』で評価を得たジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロのコンビによるフレンチ・ファンタジー。結合双生児やクローン人間などのキャラクターを登場させたり、シュールな美術&SFXなどでダークかつ不可思議な雰囲気を存分に醸し出しつつ、夢そのものを護ろうとするファンタジックなテーマ性が色濃く観る者に迫っていく秀作。美女と野獣といった主演ふたりのコンビネーションも微笑ましく映画的である。(的田也寸志)