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赫い髪の女 |
単なるエロ映画でしょ、と偏見を持ってしまう人も多いかもしれないが、描写自体は特に派手なわけではなく、「ロマンポルノ」って、そんなに激しくないんだ…(笑)というのが初見の感想です。日活の他のロマンポルノとか観た事がなかったので、なんかスゴイのを予想してましたが(笑)。 お互いの素性なんか関係なしに、ただただ本能で求め合う男女の姿が生々しく切り取られたシーンの数々。ある意味観ていて痛くて少し切なくなる映画。 雨。狭い部屋。小汚い布団の中で抱き合う二人には、余計な言葉もエピソードもいらない。男と女、これぞ愛とエロチシズムの原点ですね。 宮下順子がなんとも艶っぽく、かつ愛らしい。 |
青春の殺人者 デラックス版 |
30ン年水谷サンのファンですがこの作品だけなかなか見れるチャンスがありませんでした(子供だったし今と違って家庭用ビデオやレンタル店無くTVで放映されなさそうな作品だったもの‥)今回のDVDでやっと念願が叶いました。大好きな作品になり一人で何回も見てしまいます。40代のオバチャンになって初めて見たのが良かったのかも‥それでも衝撃的でキャベツ見ると恐くなり原田サンの「じゅんちゃ〜ぁん」や市原サンの「痛くしないで」の声が数日頭から離れませんでした。水谷豊&市原悦子にシビレます。破滅的な役の水谷サンはたまりません。『杉下右京』が水谷豊とおっしゃる方‥この水谷豊にかつて魅せられた若者がたくさんいたことも知っててもらえたらなぁ‥と思います。 |
赫い髪の女 |
神代辰巳の映画はロマンポルノとゆうジャンルながらも
繊細でどこか寂しげで、フランス映画のような匂いがして いつも”切なく愛おしい大人の愛”を描いています。 男と女のすれ違い、もどかしさ…。 何より『宮下順子のカッコ良さ!』ったら、ありません! 私と同じ女性の方に見て頂きたい1本です。 |
枯木灘 (河出文庫 102A) |
レビューにも日本文学の最高傑作と書かれている方があって、それならばと読んでみたのだけれども、確かにものすごい完成度の高い作品だと思う。自分の中では今まで読んできた小説の中では絶対にベスト3には入る。ただの近代私小説よりは構成でも印象でもこの本の方が格段に上だ。
所謂性とか暴力、複雑な血縁関係の中から生じる苦悩などを描き出した作品。複雑、と言っても一通りでなく、従来のメロドラマの離婚・不倫・妾の子などが何重にも重なっており、ほとんど網のになっている。そこから感じる苦悩や、兄弟内の事件、自分の本当の父の肖像などが何度も繰り返し(くどいほど)語られ壮絶な中に生きる主人公の姿が目に見えてくるようだった。すべてを忘れるために土方作業に打ち込む時の鮮烈な描写も忘れられない程インパクトが強い。主人公のやりようの無い思いも簡潔な文章でありながら、ひしひしと伝わってくる。 似た様な小説は石原慎太郎氏なども書いているが、血縁関係などをからませる中上健次氏の文章の方が私は好きだし、印象深いと思う。日本人必読、とはさすがに言わないけれども、日々の生活に不満や憂鬱を感じている人などには同感できるのではないかと感じた。興味がある人は勿論読んでみるといいと思う。 |
千年の愉楽 (河出文庫―BUNGEI Collection) |
生きることの官能、歓喜、悲劇、幸福、ありとあらゆるもの
すべてが生々しく生き生きとして、 ここに ある。 これは小説ではなく「物語」。 この物語が一人の男の脳髄から生み出されたのは奇跡だ。 |
こんな 中上健次 の夢を見た!
その容姿からは想像できない歯に衣着せぬトークで人気を集める 中上健次。大地を感じるスケールの大きさ、心深く沁み入るスコールのような清々しいヴォーカル。
髪をツインテールにしてチューブトップを着ている「ロリ対応」なシーンは「小学生にも交じれます」と自信を見せた。
ほうほう、ようがんばってますなあ。ようするに、
『 結婚をしないで、なんて私は馬鹿だったんでしょう。これまで見たものの中で最も美しかったものは、腕を組んで歩く老夫婦の姿でした。 』( グレタ・ガルボ )
なんだか納得。
歌 打つ 空虚(うつほ)
中上健次論。 あの文章の快楽は、詩であり歌であるからか、と思った。 「引きつけてやまない言葉の魅惑」 「日本語本来の闇と光の磁力」 ──「だから歌の原型というのは、あるものを訴えるということ、訴えるということは要するに外から来てしまったもの ...
snapshot 中上健次と村上春樹
ぼくが中上健次を引用し“日本語”について書いたのは、ある雑誌の中上特集号が出たからではあったが、もちろん“意図”がある。ぼくがル・クレジオのノーベル文学賞に“喜んで”彼を引用したのにも意図がある。もちろんぼくがこの二人を<引用> ...
「復興期の精神」
その頃は中上健次と柄谷行人が幅をきかせ、歴史を紐解くにも歴史のない札幌育ちのわたしには、まったくの別世界に思われた。そうした偏見により、数年の間、花田清輝は熱心に読まれることもなく、机の下で埃をかぶっていたのだが、たまたま手にした「復興 ...
snapshot 中上健次のために(21世紀の小説のために)
... 思想”と共に青土社から長く(なんと長く!)発刊されている。その10月号の特集は<21世紀の小説のために>である。表紙には、“古典的な少年”の海を背景にしたモノクロ写真がある。中上健次である。中上健次、1946年8月2日誕. ...
[読書]舞城の源流とおぼしきもの。
(中上健次 「枯木灘」). 読みました。 米軍基地での米兵とドラッグなどにちりばめられたアンダーグラウンドの. どろどろした世界を描いた日常的な作品です。 なんというか、舞城が現代文学シーンに殴り込みをかける段階において、 ...
「編集者という病い」
あの中上健次でさえ4歳年下の見城徹に頭が上がらない。 中上はどこでだったか、自分の原稿を一字一句とも変えられたくないと主張している。 ところが、見城徹にかかると、 中上は自分の朱筆(添削)をもっとも感謝していた作家のひとりとなって ...
私が最近知った作品たち~阿部和重編
大江健三郎の『万延元年のフットボール』、中上健次の『枯木灘』などと比較されることも多かったですね。2004年、同作で第58回毎日出版文化賞第1部門、第15回伊藤整文学賞小説部門をW受賞。 2005年、「グランド・フィナーレ」で、第132回芥川龍之介賞を ...
snapshot ふたたび日本語について
過去ログの中上健次引用から“選択して”貼り付けているうちに長くなってしまったのだ(笑)中上健次の文章もけっして“美文”(いわゆる美しい日本語)ではない。むしろ馴れないと“読みにくい”文章だろう。ぼく自身も最初から、中上 ...
蓮實重彦が偏愛する本 24冊
中上健次『熊野集』 中上健次『千年の愉楽』 中原昌也『ニートピア2010』 ロラン・バルト『彼自身によるロラン・バルト』 ロラン・バルト『ミシュレ』 ミシェル・フーコー『言葉と物』 藤枝静男『田紳有楽・空気頭』 藤枝静男『悲しいだけ・欣求浄土』 ...
組坂繁之・高山文彦『対論 部落問題』
『エレクトラ』は中上健次を描いた評伝だ。読みたいと思いながらそのままになっている。中上の、『紀州』という未解放部落のルポルタージュは好きな作品だ。部落というと暗いじめじめした世界を想像しがちだが、またそういう風に描かれることが多いの ...